Azureテクノロジ入門を読んで
ISUCON6本選の出題を担当した @catatsuy です。
ISUCON6はMicrosoft様にスポンサーになってもらい、Azureを提供してもらいました。その縁でAzure本の献本をいただきましたので、私が読んで感じたことを書いてみたいと思います。

- 作者: 日本マイクロソフト株式会社
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2016/11/12
- メディア: 単行本
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Azure本ほしいと書いたらISUCON出題者枠で特別に送っていただいた。第三章「データベースと分析計サービス」と第四章「高速開発のためのAzure App ServiceとAzure Functions」だけで全体の半分以上あっておもしろそう。 pic.twitter.com/vH0d9xInyx
— edvakf (@edvakf) November 28, 2016
Azureを初めて触る人におすすめな本
私はISUCON6の問題を用意するまでAzureを触ったことがありませんでした。ISUCONの問題を作り始める前にこの本があれば、悩む時間をかなり短縮できたと感じました。もっと早く手に取りたかった本です。
というのも、一応AWSやGCPはISUCONなどで触っていたので、他のサービスと同じ気分で最初にインスタンスを立てようと思い触り始めました。しかし実はインスタンスを立てる時点で私はつまずきました。
例えばインスタンスを起動するときにクラシックとリソースマネージャーのどちらかを選ぶ必要があります。最初どちらを使えばいいか分からなかったので私はクラシックを起動してしまったのですが、この本を読めばこれからAzureを使い始めるユーザーにとってはクラシックは使う必要の無い機能である事が分かります。
またインスタンスを起動しただけではSSHに使っている22番ポートしか空いていません。なのでHTTPサーバーを立てたい場合は80番ポートなどサービスに使用するポートを開ける必要があります。これは他のクラウドサービスと同じなので悩まなかったのですが、どこの設定をいじればポートを開けられるのか、私は全く見つけることが出来ませんでした。今回の場合はパケットフィルタリングという設定をいじればいいのですが、これもこの本を読めばすぐに分かります。
Azure PowerShellやAzure Xplat CLIの紹介もあります。ただ、突っ込んだ使い方が書かれているわけではないので、やりたいことがある場合は公式のドキュメントなどを見る必要がありそうです。
サービスの使い方だけでなく、Azureの仕組みが書いてある
Azureの内部的な構成など、サービスを使っているだけでは分からない部分も解説がされています。エンジニアとして内部がどうなっているのか興味がありますし、ただサービスを使うだけでも内部の仕組みが分かっていれば機能の理解もしやすいと思います。ここまでしっかり内部の仕組みについて書けるのは開発しているマイクロソフト社の方々が書いているからこそだと思います。
Microsoft技術とのシームレスな連携
私がMicrosoft技術に疎いだけかもしれませんが、Visual StudioやExcelからAzureのSQL Databaseにシームレスに繋げるのは驚きました。こんな便利な機能がGUIで色々用意されているということをそもそも知りませんでした。
人工知能アルゴリズムのコレクション: Cognitive Servicesの紹介
分析系サービスとしてCognitive Servicesを紹介されています。実に様々なAPIが用意されています。これらのAPIを使ったサービスを作れないのか考えてしまいます。それくらい非常によくできたAPIで感動してしまいました。
詳細は以下のURLで是非確認してください。
サーバーレスアーキテクチャに便利なAzure Functionsも紹介
第4章でPaaSやAzure Functionsの紹介もあります。この辺りについてはまだ機能が拡充中ということもあり、すでに差分が発生しているようです。しかし読むと色んな事に使えそうな機能だと思えます。サーバーレスアーキテクチャはまだ各社のサービスが始まったばかりですが、今後キャッチアップしていくべき技術であることは間違いないのでちゃんと追いかけたいところです。
@edvakf 実はもうその章については大きな差分がいくつか出ておりまして。。(Linux版のAppServiceとかDocker対応とか、FunctionsのGAとか) その辺りはうまいことキャッチアップいただければと。
— Tatsuro Hisamori (@myfinder) November 28, 2016
最後に
Azureのポータルを初めて起動したときにどこを触ればいいのか、私には分かりませんでした。Azureのポータルを触る前に、軽くこの本に目を通すだけでも受ける印象がかなり違うと思います。
ただしAzureは機能がかなり多いため、全体の機能に比べればごく一部しか紹介されていません。実際にAzureでサービスを立ち上げようと思ったらこの本だけでは情報が足りないので公式のドキュメントをかなり見ることになると思います。なので以下のようなことを知りたい方に非常におすすめです。
- Azureの使い方をざっくり知りたい
- Azureにはどういう機能があるのか知りたい
- Azureの裏側がどうなっているのか知りたい
全体で250ページ程度でスクショやイラストも多いので、技術書にしては比較的サクッと読めます。内容も裏側の仕組みなどしっかり紹介されているので技術的な内容も満足できる内容だと思います。