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小説PDF変換機能にかける想い 〜書けるサービスから作れるサービスへ〜

こんにちは、主にPC版pixivの開発に携わっています uchien です。 先日PC版pixivでリリースされた 小説PDF化機能 では、主にフロント側の実装を担当しました。今回は何を目指してこの機能を作ったのかという話をさせてください。

原稿を書くだけで本をつくれるサービスにしたい

小説作品を印刷用の原稿に落とし込む方法としては、一般的にはWordのような文書作成ソフトやInDesignのようなDTPソフトがよく使われていると思います。それ以外にも小説同人誌の制作に特化した専門のツールなど様々な方法があり、それぞれ違った特徴があります。

今回リリースしたPDF変換機能では 1. 文章を書くだけで 2. 勝手にいい感じのPDFを作ってくれる 機能になることを意識して、なるべく少ない手数で手軽に印刷用のPDFを作るところまでこぎつけられる、ということを目指しました。 そのため文書作成ソフトなどに比べるとユーザー側でいじれる設定の自由度はかなり低くなっています。

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わたし自身いままでに何度か同人誌を作っているのですが、〆切ギリギリになって原稿ができた!と思っても、原稿のサイズはどうすればいいのか、ページの周囲のマージンはいくつに設定したらいいのか、面付け*1はどうやるのか、行間はどうするのかなど、原稿を書く以外にも考えることが多く、思わぬ時間を取られるものです。

そういった諸問題を意識させず、とにかくすぐに作品を本の形にできる体験をしてほしいという想いでPDF変換機能を作りました。

細かいレイアウトの設定は省略

上述のような理由で、現在小説PDF変換機能では、書く人のこだわりが色濃く出やすい

  • 用紙サイズ
  • 段組み
  • 文字サイズ
  • (&柱・ノンブル・扉・奥付の有無)

だけを選択できるようにし、それ以外の行間やマージンは自動で調節されるようにしました。

例としてA5サイズ2段、文字サイズ9ptだと以下のようになります。

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変換PDFでできないこと

未対応のpixiv記法

現在、pixiv記法のタグのうち

  • 章タイトル(柱に記載される。章タイトルがない場合は柱は表示されない)
  • 改ページ
  • ルビ

のタグはPDF変換でそのまま適用されます。一方で、表紙や挿絵などはwebと紙の解像度やカラー原稿のあつかいの違いの問題から入れていません。

奥付(仮)

また、初期リリースではあくまでもコピー本を作れる機能という目標で作ったため、印刷所に入稿するための原稿としては不足している部分もあります。

この機能では最終ページに簡易的な奥付を生成することができますが、印刷所への入稿に際しては、これ以外に印刷所名、発行日、メールアドレス等の連絡先などが必須とされることが多いです。 この部分についてはユーザーの自由入力の部分が増え、UIが煩雑になってしまうという問題から初回リリース時には実装を見送りましたが、いずれ何らかの形で拡張していきたいと思っています。

要望のある部分は対応していきたい

このように極力UIをシンプルにしたいという心意気で作ってきたPDF変換機能ですが、もっと出力自体のクオリティや汎用性を上げて印刷所への入稿にも耐えうるものにして使ってもらいたいという野望があるので足りない部分は鋭意追加していきたいです。

たとえば、ノンブルの開始番号の変更*2やA6(文庫判)サイズ*3については当初対応していなかったのですが、かなり要望をいただいたので対応しました。

最初にちらっと書いたのですが、「いい感じのPDF」を作る部分についてはまだまだいい感じにしていく余地があるのでそのあたりも計画中です。

小説PDF化機能は一般会員の方でもおためしで4ページまで変換ができるので、ぜひ使ってみてください


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*1:本になった時に正しい順序になるように原稿を配置すること

*2:表紙を1ページ目とする方法や本文の冒頭を1ページ目とする方法などがあるが、同人誌では通例表紙を1ページ目(本文3ページはじまり)とすることが多い

*3:コンビニコピー機が折り本にした時にA6判になるA5サイズの用紙が対応していないことが多いため